ローマの土建業的文明の延長線上に、そのギリシヤからローマへの転換の延長線上にヨーロッパの文明が築かれたわけで、さらにその延長上に二〇世紀の文明があった。その進化のはてに、われわれを取り囲むハコモノと呼ばれる建築群があるとしたならば、この展望台は、その進化の方向をもう一度反転させる提案である。ギリシヤの劇場風に、地形そのものを材料にして建築を作る提案なのである。時間の流れを逆転させて、人工的に立ちあがるハコモノを、ギリシヤのさらにその昔の、もとの山の姿に戻そうとしたのである。
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この建築の材料は何かと問われたら、山という答えが正解かもしれない。山そのものを材料と見立てるところから、計画はスタートした。カットされた平たい地面の上に、U字型にコンクリートを打ち、そのまわりに土を盛り、もとの山のシルエットを復元していくのである。亀老山の土質は真砂土であった。花圈岩の風化でできた土で、砂のように崩れやすい。台風の大雨で、真砂土の盛り土が流れてしまうことが最も心配であった。大雨で土が流れてコンクリート製の擁壁が露出してしまったら、「自然な建築」「見えない建築」どころの騒ぎではなくなってしまう。真砂土の中深くにはステンレス製のメッシュを敷き込み、さらに表土が流れないように、樹木の種と肥料と糸を混ぜたドロドロの液体を、土の上から撒いた。樹木が根をはるまでは、このからまりあった糸が、土の表面を保護するのである。