いきすぎた清潔志向も、シックハウスをつくる

2011.09.30

最近の住宅の室内の空気は、さまざまな有害物質によって汚染されがちなのですが、清潔志向がそれに拍車をかけていると言ってもいいかもしれません。清潔志向の現在、さまざまな物に抗菌加工がされていますが、抗菌処理には大きく分けて無機系と有機系の二つがあります。無機系は、主に金属の抗菌作用を利用しているので害がないといわれていますが、有機系の抗菌剤にはさまざまな障害を起こす可能性があります。従来、人体に対して安全とされてきた有機系の抗菌剤ですが、使い方によっては人体に悪影響が出る場合があるのです。たとえば、有機抗菌剤が塗料などのカビ止め剤として使われていた場合は何の問題もなかったのが、イスの座面のように直接人間の肌に接する部分にこれを用いると、人間の汗や脂肪によって薬剤が分解され、それが肌に接触することによって炎症を起こしたり、また靴のニオイ取り剤が、体温によって靴の中でガス化したりして、皮膚に吸収されて皮膚炎を起こした例もあります。最近では、抗菌布団やダニ対策済み掃除機用ゴミ袋(有機系抗菌剤で処理されている)などによる健康被害が出ています。ですから、建材からホルムアルデヒドを減らしても、そのかわりにカビ対策に抗菌剤を多用するようになれば、「安全になる」とは言いきれないのです。こうした有機抗菌剤の影響は、一般の人には症状が出なくても、乳幼児や老人、アレルギー性の人には発症するケースがあります。自然界にはさまざまな細菌が存在しており、人間とそれらの細菌は、長いあいだ共生してきたのです。ですから、ユーザーも自らの健康のためにも、とくに害を及ぼさない細菌まで遠ざける抗菌剤がほんとうに必要なのか、絶対に必要な部分以外には抗菌性を求めないという意識を持ち、選択していくことかだいじではないでしょうか。不潔だからと、子どもたちを砂場やどろんこ遊びなどから遠ざけていると、生物としての耐性が衰えてしまいます。現在のような「無菌状態」を助長すれば、かえって人間はひよわになるだけでしょう。近年流行のO−157なども、耐性の強い東南アジアの人たちや、昔の人なら問題にならなかったのです。まして、抗菌剤もけっして無害でないことを知れば、いたずらに抗菌性を求めるのはあまり益がないとおわかりいただけるのではないでしょうか。

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